Notting Hill Carnivalって何なの?その歴史とレゲエサウンドシステム
ロンドン中心部で8月末に開催されるカリビアン音楽とサウンドシステムの祭典
2017年は8月26日(土)〜28日(月)に開催されるノッティングヒルカーニバル。Carnival Weekenderと称して会場以外でも様々な派生イベントが開催され、ロンドンがお祭りムードに彩られる。
メインのカーニバルは、ロンドンのセントラルよりやや西に位置するノッティングヒル地域一帯(ケンジントン&チェルシー地区内)を通行止にして行われる。閑静な高級住宅街に、8月最終週末だけは30〜40ものサウンドシステムが登場。世界中から観光客が押し寄せ、街は100万人規模の群衆で埋め尽くされる。
(Map出典:Time Out’s Notting Hill Carnival 2017 Route and Soundsystem Map)
人種差別が生んだカーニバルの歴史
ノッティングヒルカーニバルの起源は1958年にまでさかのぼる。このカーニバルは一概に陽気なレゲエフェス、サウンドシステムフェスというわけではない。
根底にあるのは人種差別問題だ。
1950年代後半のロンドンには、労働力として西インド諸島(カリブ海に連なる島々)から連れてこられた人々が急増。人種間の対立や差別が摩擦を生み、1958年に当時は貧しい地域だったノッティングヒルで多くの死傷者を出すに至る悲惨な暴動が起こった。翌年、カリブ出身の女性活動家クラウディア・ジョーンズが屋内での音楽イベントをオーガナイズし始めたことを機に、1964年には人種間闘争が沈静化。
このカーニバルの原型がストリートへ躍り出たのは、1966年のこと。同地域にある「West London Free School」の文化祭、その名も「Hippie」において、前述のイベントに出演していたスティールパンバンドが子供達を引き連れて路上を練り歩いたのが最初だったようだ。さらに、1973年にはサウンドシステムが登場。当初は、カリブ伝統の仮面をつけたパレードを演出する装置としてスピーカーが用いられるようになったとか。
(出典:https://www.youtube.com/watch?v=3hWMzEkj1FI/https://en.wikipedia.org/wiki/Notting_Hill_Carnival)
カーニバルが現在の形になって、今年で51年目。路上には次から次へとスピーカーを積んだトラックが繰り出し、ビビッドなコスチュームに身を包んだダンサーやスティールパンのマーチングバンドが後に続く光景は名物になっている。
祭典のハートといえるルーツ レゲエ サウンドシステム
カーニバルの3日間、会場エリアには30を超えるサウンドシステムが林立する。(2017年参加サウンドシステム一覧はこちら)
ReggaeをはじめSocaやCalypso、SoulにBlues、D’m’BやDubstepのシステムもあれば、民家や商店の軒先に個人がちょこんと設置しているプライベートシステムも。
街に溢れる爆音の中で、ひと際存在感を放っているのが、やはりレゲエサウンドシステム。中でも群を抜いた音量と集客を誇るのがAba shanti-I Sound Systemや、今年でカーニバル参加35周年を迎えるChannel One Sound Systemだろう。
ジャンルとしてはRoots Reggaeのサウンドに入る。JAH SHAKAをはじめとするルーツ&カルチャーのサウンドやダンスがカリブやアフリカといった祖国を遠く離れイギリスに渡った移民達の拠りどころとなってきた背景と、このカーニバルの趣旨が一致するからこその人気だろう。(JAH SHAKAはカーニバルに出演しないが)
レゲエやサウンドシステムは、ジャマイカから移民とともに世界各国へ伝播した文化である。渡った先のひとつ、イギリスで大きく二次進化を遂げたことを鑑みれば、源流であるジャマイカと同じくらい、一度は訪れてみたい一大イベントだと言える。
音と色の洪水、あとはひたすらゴミの山をかき分けてサウンドシステムからサウンドシステムへと巡る。人種、年齢、職業関係なく(おまわりさんまで!)音にまみれて揉みくちゃで踊る、刺激的な3日間となるはずだ。
また、長いカーニバルの歴史上、現場で起こる暴動や犯罪、ポリスとの揉め事を理由に開催が中止されていた期間もある。そういった問題がほぼ解消された現在は(ごったがえす会場でスリなどに気をつけなければいけないことには間違いないが)、たまらず群衆と一緒になって踊り、歌い出すポリスの姿もこのカーニバルの意義を示す一種のアイコンになっている。
「今年は行けない!」という人はコチラ!
8月27日(日)の日本時間夜〜28日(月)の深夜にかけてBIOLLER ROOM TVが公開するムービーやカーニバル現地の中継で楽しむこともできる。
ちなみに、カーニバル自体には出演しないJAH SHAKAだが、深夜帯に別の場所でダンスを開催するのが例年。Carnival Weekenderの目玉になっている。
Aba Shanti-IもChannel Oneも、素晴らしい内容の前夜祭を開催。もちろん、どちらもこれでもかというほどサウンドシステムの醍醐味を味わえる。今年行ける人が羨ましい限りだ。
素晴らしい!!!
死ぬまでに一度は必ず行ってみたいお祭りです。
世界屈指のサウンドシステムももちろんですが、
バックグラウンドの「音楽が結びつけた平和の歴史」に
雷の如く心が打たれました。
これからも末永く繁栄していってほしいですね。